二〇一五年七月一二日
JR北海道に思う・・・上下分離方式の是非
以下の記事が最近報道されました。
JR廃線拡大の可能性 第三者委、7路線8区間を例示 http://t.co/aRIimjLN2R
— 北海道新聞 (@doshinweb) 2015, 6月 29
JR北海道が留萌線(深川-増毛、66.8キロ)の廃止を検討し、一部の沿線自治体に伝えていたことが分かりました。今後は各自治体と設置する協議会で代替交通手段などについて議論し、合意を目指すとのことです http://t.co/j7aiOfWUHS
— 毎日新聞・デジタル編集部 (@mainichijpedit) 2015, 6月 28
鉄道は、自動車・飛行機・船舶とならぶ重要なインフラの一つです。
それにもかかわらず、 日本は鉄道を冷遇しています。
私は根本的に、現状の鉄道営業のあり方に疑義があります。
ドイツ、フランス、イギリスなどは上下分離方式といって、鉄道列車を運行・管理する側のみ民営化し、下の保線部分は国が管理している、ないし民営化しても国が100
%株を保有しているなど、およそ国営さながらとなっています。
昔の日本は「日本国有鉄道」といって、鉄道列車の運行管理・保線に至るまですべてが国営で、杜撰な経営管理をしていました。昭和30年代後半から赤字であったと云われています。
その後値上げ→客が離れる→赤字→値上げ→客が離れるの繰り返しで、まったく経営体質に変わりが見られませんでした。
一時期「マル生運動」と云って意識改革も試みられましたが、当時の動労、国労の激しいストをともなう労働運動でなにもかも改革の機運が挫折し、顧客に対するサービスはなおざりにされ、国鉄の体質改善はまったくなされませんでした。また「スト権スト」と呼ばれる「ストライキ権を求めるためのストライキ」という違法行為も蔓延し、職場は荒廃の極みでした。
その後、民営化され、JR北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州、貨物に分割・民営化されました。
中曽根元首相はのちに、「社会党を潰すためにやった」と述懐しています。
結果的に民営化はうまく云ったといえるでしょうか。
すぐには正しかった、間違いだった、といえるものではありません。
ただし、僻地においてはまったく正解だったと言えるものではないと思っています。
ましてや、最近首都圏でも鉄塔が倒壊するなど杜撰さが露呈しているのではないでしょうか。
鉄道は、ユニバーサルサービスであるはずです。
車両の運行のみ民営化させ、線路の保守点検は政府が行う。これを「上下分離方式」と呼びます。
車両の運行をする民間企業は利用料をその政府に支払うという形が健全であるように考えます。道路とバスの関係です。国道や都道府県道が民営化されるでしょうか?されませんよね(NEXCO
も株は100%財務大臣の保有です)。
また田舎の中小私鉄では、むしろ利益を出しにくい線路の保守点検を政府に外注することで、効率のよい経営を行うことが出来ます。渋滞に巻き込まれませんし、ダイヤの設定次第でバス転換より利益を出しやすくなるはずです。また荷物輸送や郵便輸送も、時間に的確であればむしろ活用できます。鉄道輸送が衰退したのは、おそらく賃上げ闘争のせいであったのではないか?と考えます。
物資の輸送は民生に限らず、軍事においても重要であるはずです。北海道はロシアにちかく、宗谷海峡も中国の人民解放軍が航行したと報道になりました。防衛上の要のはず。北海道をないがしろにしてはならず、むしろ鉄道を積極的に活用し、戦車や人員など派遣(10式戦車も大物車で運べます)してほしいと思います。
有事にかぎらず、災害時でも、鉄道の線路と物資輸送が国有であると的確な指示・命令が出せ、支援物資をすばやく被災地に送ることが出来ます。
一概に「民営化は是か非か」という議論に巻き込まれず、安全第一に鉄道を運行してほしいと願います。